語学を学ぶこと=異文化に触れる、知ることです。
この本はそういう意味でもいろんな意味でも、かなり最適です。

イギリスの元・底辺中学を舞台にした「ぼく」が出会う「世界の
縮図のような」毎日。母親である作者ブレイディみかこさんの
イキのいい文章でそのエキサイティングな世界に引き込まれてい
きます。

2020年前に出版され、大きな話題を呼んだこの本。
当時図書館で借りようとするも、予約待ち70位くらいでしばらく
待つことに。
それがある日、高校生の娘の部屋にこの本が! 珍しく自分で
買ってきた本です。

やった~!と早速借りて読み始めるも、その間何のかんのあり
読み終わるまで時間がかかってしまいました。

理由その一: 内容が難しい
読み進めていけば、決してそんなことはないと分かるのですが。
かわいい表紙とオビの「課題図書」で、子供向けの易しめノン
フィクションかと読み始めて内容のギャップにまずうっ、と
なりました。
全世代読むべきですが、子供をコアな読者として書いている
内容では決してないのです。

理由その二: なんだかんだあった
仕事が忙しくなったり体調崩したり。

理由二、はどうでもいいことですが読書の波にのるまで時間が
かかりました。乗ったら後は一気読み。素晴らしい本です。

英語関連としてあげたい一例は Paki という差別用語です。
クイーンの映画「ボヘミアンラプソディー」で、フレディにも
使われてました(日本訳はパキ野郎)。中東~インドあたり
まで含む移民に対する蔑称です。
作者みかこさんはイギリスの新聞社で働いていた時に、この
言葉についてちょとした議論をします。当事者側では本当に蔑称
なのですが、この言葉を親愛を込めて使う、上のクラスに属する
人たちがいます。
本の中でそっち側として登場するのは、オックスブリッジと
呼ばれる超名門オックスフォード、ケンブリッジ大卒の人。

日本では金持ちかそうでないかくらいですが、イギリスや
ヨーロッパ圏内には伝統的に階級社会が存在していて、
そのグループとそうでないグループでは根本的にこういった
問題に対する捉え方が違うという、みかこさんが
「ええええっ!」とそれを目の当たりにしたシーン。
日本ではここまで驚く似たような事例はないかな、と
思いますが、実際、このオックスブリッジの人は本当に
悪気はない。

このエッセイの冒頭に「エキサイティング」という言葉を使い
ましたが、実際にこの社会で生活している人たちにとっては
シビアですが極普通の日常。大変そう、辛そう・・と思って
しまうのはやはり日本が平和だからなのでしょう。
決してイギリスだけの話しではなく、この本をまだ生ぬるい、
と感じる場所で生活している子供たちもたくさんいます。

SDGSは言葉としては大分浸透してきましたが、まず世の中を、
世界を知ることから始めたいと思ったら「世界の縮図」な
この本は最適な一冊かもしれません。